旅行でダイビングを楽しんだ後、そのまま飛行機に乗ることは、実はとても危険。
ダイビングをした直後の飛行機搭乗ってなにが危ないの?
体験ダイビングをするだけでも飛行機に乗ってはいけないの?
ダイビング後に飛行機に乗ると、減圧症という症状が出るリスクが高まるため、注意が必要です。
この記事では、減圧症が発症する理由やリスクを詳しく解説し、安全な旅行を楽しむためのポイントを紹介します。
- ダイビング直後の飛行機搭乗がNGの理由
- 減圧症対策で知っておきたいこと
- ダイビング旅行計画に立て方
- ダイビング後の飛行機搭乗についてのFAQ
この記事を書いた人🙋(ガイド歴17年 PADI インストラクター)
「マリンサービスサンフィッシュ石垣島」を運営する私「浜 佑介」は、石垣島や沖縄の様々な情報に精通しています。
- 石垣島と宮古島でマリン会社経営
- ガイド歴17年 PADI インストラクター
- 初心者のガイド累計10000人以上!
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ダイビング直後の飛行機搭乗が絶対にNGの理由
ダイビング直後の飛行機搭乗は、命に関わる可能性があり、減圧症になるリスクが高まります。
減圧症は、ダイビングで体内に吸収した窒素が、急激な減圧によって身体から放出されないまま残ってしまい、体内で泡をつくってしまう症状です。
体内でできた泡が血管や神経に詰まり、痛みや麻痺、意識障害、呼吸困難などの症状を引き起こすことがあります。
減圧症は、深度や潜水時間、回数、ダイバーの健康状態、ダイビング後の待機時間など、様々な要因が関係しており、予測が難しい症状の一つです。
ダイビング後の飛行機搭乗は、飛行機内での気圧の変化が減圧症を引き起こす原因となるため、非常に危険です。
ダイビング後にすぐに飛行機に乗ると、窒素が体内から急激に放出されることで、減圧症が発症する可能性が高まります。
特に、深い場所でダイビングを行った場合や、潜水回数が多かった場合、待機時間をしっかりと確保しなければなりません。
減圧症とは
減圧症とは、ダイビング中に体内に溜まった窒素が、急激に圧力が低下することで、気泡となって血液中に発生する病気です。
ダイビングは、水深が深くなるにつれて圧力が増大しますが、徐々に水面に戻ることで圧力が下がります。
急に水中から水面に出たり、飛行機などの高高度への移動で突然圧力が低下すると、体内に溜まった窒素が気泡となって発生し、減圧症を引き起こす恐れがあるのです。
減圧症になると、以下のような症状が表れます。
- 皮膚のかゆみ
- 発疹
- 関節の痛みや腫れ
- 疲労感
- 呼吸困難
- 胸痛
- 意識障害
減圧症を予防するためには、ダイビング後に必要な待機時間を守ることが重要です。
また、症状が現れた場合は、速やかに専門医に診てもらいましょう。
飛行機搭乗までの待機時間の目安
ここでは、飛行機に搭乗するまでの待機時間の目安を紹介します。
待機時間が分かれば、ダイビングのプランもばっちり立てられます。
自分の身体のためにも、ダイビングをする際は頭に入れておきましょう。
ダイビングの深さや回数に応じた待機時間
待機時間は、ダイビングの深さや回数によって異なります。
世界最大のダイビング指導団体、PADIが発表している待機時間を以下にまとめました。
1回 | 1日に複数回・連日 | |
待機時間 | 12時間以上 | 18時間以上 |
減圧停止が必要なダイビングをしたときは、飛行機搭乗までに18時間以上空けることが推奨されています。
ダイビング1回〜複数回で、12〜18時間以上の待機時間がよいとされていますが、ダイビング後は24時間空けるのが安心です。
十分な待機時間を確保するためには、自分自身の身体の状態を把握し、慎重に行動する必要があります。
また、ダイビング後にはダイビングによって身体にかかる負荷を軽減するために、十分な休息と水分補給が必要です。
ダイビングを楽しむためにも、安全にダイビングを行い、十分な待機時間を確保してから飛行機に乗るようにしましょう。
体験ダイビングをした場合は12時間待機
体験ダイビングに参加した場合でも、ダイビング後すぐに飛行機に乗ることは危険です。
初めての経験や不慣れなダイバーの場合、深度に応じた適切な減圧の実行が難しい場合があり、減圧症のリスクは高まります。
そのため、体験ダイビングを終えた後も、飛行機搭乗には十分な待機時間を確保しましょう。
PADIでは、体験ダイビング後の待機時間を潜った深度に応じて、最低12時間と定めています。
しかし、これは最低限の時間であり、より長い待機時間が推奨されます。
体験ダイビングを行う際には、ダイビングインストラクターの指示に従い、リスクを減らすために十分な準備をすることが重要です。
減圧症を防ぐ5つの対策
減圧症を防ぐためには、以下のようなことが重要です。
それぞれ順番に解説していきます。
1.ダイビングの時間を制限
深さや浮上時間、合計ダイブ時間などを制限して、ダイビングの計画を立てましょう。
時間に余裕をもって水面に浮上して安全停止を行い、十分な時間をかけて浮上することが重要です。
2.健康状態のチェック
体調が優れない場合や疲れている場合はダイビングを控えましょう。
特に喫煙者はリスクが高まるため、生活習慣を整え健康的な生活を送ることが大切です。
3.ダイビング器材の適切な使用
ダイビング器材の使用方法を正しく理解し、適切に使用しましょう。
安全停止のためのブイや深度計などを正しく使うことが大切。
思わぬトラブルにならないために、わからないことはそのままにせずに、事前に陸で確認しておくとスムーズです。
4.ダイビング中の水分補給
水分補給は、しっかりしましょう。
ダイビング中は水分不足になりがちです。
水分補給をしっかり行うことで体内の水分バランスを保つことができ、減圧症を防げます。
同様に、ダイビング後に飛行機に搭乗する場合も、十分な水分補給を心掛けるのが大切です。
5.ダイビング後の十分な待機時間
ダイビング後には、十分な待機時間を確保しましょう。
ダイブコンピュータを使用して待機時間を計算することが望ましいですが、ダイブコンピュータを持っていない場合は、PADIが推奨する待機時間の目安に従うことが大切です。
もしも、ダイビング中に減圧症の症状を感じた場合には、すぐに陸に戻って早期に医療機関を受診してください。
飛行機搭乗だけじゃない!ダイビング後にしてはいけない5つのこと
ダイビングのあとにしてはいけないことが、飛行搭乗以外にも5つあります。
それぞれ順番に解説していきます。
1.登山
飛行機だけではなく、気圧が低くなる高所に行くのはやめましょう。
標高400m以上のところは、減圧症の発症リスクが高まります。
もしも、ダイビングのあとに登山の予定があるなら、スケジュール変更するのが安心です。
2.入浴
ダイビング後の入浴も、以下に当てはまるなら危険です。
- 減圧停止が必要なダイビングのあと
- 無減圧潜水時間ぎりぎりのダイビングをしたあと
このようなダイビングは、体内に大量の窒素が溜まります。
冷えた身体で温かい風呂に入ると、減圧症のリスクが高まります。
同様に、サウナも避けるのがよいでしょう。
ダイビング直後はシャワーでさっと済ませるのがおすすめです。
3.飲酒
大量のアルコール摂取は、脱水症状を引き起こし、減圧症のリスクが高まる要因にもなり得ます。
飲酒したい場合は、飲酒前に水分補給をしたり、ダイビング前後に400ml以上の水分を補給したりするのがおすすめです。
4.運動
ダイビングのあとの運動も避けましょう。
運動は急速に気泡を発生させ、神経障害を引き起こす危険があります。
耳抜きや咳、腹部に力を入れる運動も控えた方がよいでしょう。
5.マッサージ
マッサージの施術を受ける場合は、強さに気を付けましょう。
マッサージの中でも、強い圧を加える深部組織マッサージは、特に注意が必要です。
血液量が増えると気泡が作られたり、減圧症の誤診につながる痛みを引き起こしたりする可能性があります。
ダイビングのあとに、マッサージを受ける予定があるなら、日程変更をするか強度に気を付けましょう。
ダイビングを楽しむポイント
ダイビングをより楽しむためのポイントは、以下のとおりです。
ダイビングスポットも入念に下調べした方がいい理由を解説していきます。
ダイビングスポットの移動時間を調整する
ダイビングスポットと移動時間の調整は、ダイビングプランを立てる上で非常に重要です。
ダイビングスポットは、海の状態や水温、海底の地形、海中生物の種類などによって異なります。
ダイビングプランを立てる際には、スポットの場所や移動時間を考慮して調整する必要があります。
たとえば、スポットの場所が遠く、移動時間が長い場合は、一日に複数のスポットを回るのは困難です。
そのため、一つのスポットで十分楽しめるプランを立てましょう。
スポットの場所が近い場合は、複数のスポットを回ることができるため、さまざまな海中生物を観察できます。
ほかにも、天候や海の状態によっても、スポットの選択や移動時間の調整が大切。
たとえば、波が高い場合や潮の流れが強い場合は、海中でのダイビングが困難になるため、適切なスポットを選択する必要があります。
ダイビングプランを立てる際には、スポットの選択や移動時間の調整を含め、さまざまな要素を考慮してバランスの取れたプランを立てましょう。
日程に余裕を持つ
ダイビングスポットへの移動時間や天候、飛行機搭乗日などを考慮して日程に余裕を持ってダイビングの計画を立てましょう。
飛行機に搭乗する日はダイビングをしてからどれくらい時間が経ったかを考えて計画を立てないといけません。
たとえば、少し遠いポイントへ行き、連続ダイビングを行い、最終ダイビング時間が16時だったとします。
翌日にフライトをする場合は、最低でも朝10時以降の便に乗らなければなりません。(連続ダイビングは18時間以上空ける必要がある。)
このようにポイントによっては終了時刻が遅くなったり、早朝で帰る場合は前日の最終ダイブ終了時刻を考慮する必要があります。
減圧症のリスクを頭に入れて、ダイビングポイントを考えたり、飛行機の搭乗時刻を決めるとよりスムーズな旅行となるでしょう。
ダイビング後の飛行機搭乗についてのFAQ
ダイビングにおける飛行機搭乗についての質問をまとめました。
ぜひ最後までご覧ください。
ダイビング後すぐに飛行機に乗ることに関する法律や規定はあるのか
ダイビング後すぐに飛行機に乗ることについて、法律や規定があるかどうかは国や地域によって異なります。
たとえば、PADIでは、潜水後18時間以内に飛行機に乗ることを推奨していませんが、法律で禁止されているわけではありません。
しかし、ダイビング後に飛行機に乗ることは減圧症を引き起こす可能性があるため、PADIや他のダイビング団体は潜水後12〜18時間は現地に滞在することを推奨しています。
海外のツアー会社によっては、24時間以上空けてからの搭乗をおすすめしている場合もあります。
ダイビング旅行では余裕を持ったスケジュールで潜るとよいでしょう。
飛行機に乗った後のダイビングは大丈夫なの?
減圧症は体内に溜まった窒素が原因のため、到着直後のダイビングは問題ありません。
到着後すぐにダイビングツアーに参加しても大丈夫です。
ただし、長時間のフライトの疲れや、寝不足などにより身体への負担も考えて参加することが望ましいです。
身体の疲れは船酔いや快適なダイビングの妨げとなる可能性もあるため、無理せずに余裕を持ったプランでダイビング旅行を楽しみましょう。
搭乗日に間違えてダイビングプランを予約してしまった!
ダイビングツアーへ参加する際、ダイビング後に搭乗予定があるかどうかのチェックが必ずあります。
搭乗日にダイビングを予約してしまった場合は、シュノーケリングのプランに変更できないか確認してみましょう。
ほとんどのショップであれば、シュノーケリングへ変更が可能な場合が多いため、安心です。
シュノーケリングはOKなのに、なぜダイビングはダメなの?
シュノーケリングとダイビングは水中での滞在時間や深度、圧力の変化が異なるからです。
シュノーケリングは水面で浮きながら、自由に呼吸できますが、ダイビングでは、呼吸器を使い、タンクから供給される空気を吸います。
タンクから供給される空気は、水面で吸う空気と違い、深度に合わせた空気が提供されます。
水面下では水圧に合わせた圧縮された空気を吸うことになるため、いわゆる「濃い空気」をダイビングでは吸うことになり、水圧の影響により体内に溜まった窒素を徐々に放出しなければなりません。
その違いがシュノーケリングはOKでも、ダイビングがダメな理由です。
まとめ
ダイビング直後に飛行機に乗ってはいけない、ということを知らない方も多かったのではないでしょうか。
少しくらいなら大丈夫なのでは、という考えは、とても危険な行為です。
安全にダイビングを楽しむために、ゆとりがあるスケジュールを立てましょう。
一生に一度の思い出となる旅行にするために、ダイビングツアーに参加する際はぜひ参考にしてみてくださいね。